新幹線はCrash Avoidanceの原則に基づくスタンドアロンシステムです。
Crash Avoidanceの原則とは平面交差のない高速旅客鉄道専用線と、速度を制御し、絶対に衝突を防ぐATCシステム(Automatic Train Control、自動列車制御装置)の2つの仕組みにより、衝突の可能性を完全に排除するという基本思想です。
一方、欧州を中心に発展した高速鉄道は、在来線や貨物列車と線路を共有するInteroperabilityの考えに基づいています。これは既存インフラの活用とネットワークの拡大を重視しているためです。
高速旅客鉄道専用線とは、重い機関車に牽引される貨物鉄道や、ブレーキ性能の高くない在来旅客鉄道と、軌道を完全に分離するものです。これにより、貨物鉄道列車や在来旅客列車との衝突のリスクを排除します。
高速旅客鉄道専用線には、踏切も1つもありません。踏切を排除することにより、有害性もしくは可燃性のある貨物を積載するタンクローリー等を含めた、あらゆる道路交通との衝突のリスクを排除します。
ATC(Automatic Train Control)は、高速旅客鉄道列車同士の衝突と、速度超過を防ぐシステムです。
高速旅客鉄道専用線の採用により、高度なATCシステムは専用軌道上で、全ての列車を管理することができます。これにより、高速旅客列車同士の衝突と、速度超過を防ぎます。
ATCシステムが専用旅客鉄道のために設計されたものであることから、ハードウェア・ソフトウェアはとてもシンプルで、また列車乗務員による取扱いを簡素にします。
例えば、東海道新幹線のATCシステムは、50年にわたって、列車同士の衝突を防ぎ、安全で信頼のある高速旅客鉄道輸送を維持しています。