WHAT IS SHINKANSEN SYSTEM?

「新幹線システム」とは?

Crash Avoidance(衝突回避)の原則とトータルシステムアプローチ、
そして50年以上の運行経験が蓄積されたO&M、組織体制、人材育成・開発によって、
世界最高水準の安全性・信頼性を誇る、高速・大量・高頻度輸送を実現しています。

Crash Avoidanceの原則

PRINCIPLE

新幹線はCrash Avoidanceの原則に基づくスタンドアロンシステムです。

Crash Avoidanceの原則とは平面交差のない高速旅客鉄道専用線と、速度を制御し、絶対に衝突を防ぐATCシステム(Automatic Train Control、自動列車制御装置)の2つの仕組みにより、衝突の可能性を完全に排除するという基本思想です。
一方、欧州を中心に発展した高速鉄道は、在来線や貨物列車と線路を共有するInteroperabilityの考えに基づいています。これは既存インフラの活用とネットワークの拡大を重視しているためです。

トータルシステムアプローチ

APPROACH

システムを構成する有形・無形の要素を人の力によって一元的に管理するトータルシステムアプローチにより、システム全体が最高の機能を発揮します。

高速鉄道は車両、電力・信号・通信設備、軌道、土木構造物、防災・防護設備などの有形の要素(ハード)と、オペレーション&メンテナンス、組織体制、人材育成・開発といった無形の要素(ソフト)が集積したシステムです。新幹線システムではそれらの要素を、技術開発・設備投資・経営管理等の人の力によって、最適に統合し、一元的に管理しています。それにより、安全性、安定性、効率性、経済性において、システム全体が最高の機能を発揮します。

オペレーション

OPERATION

Crash Avoidanceの原則とトータルシステムアプローチが、圧倒的な安全性・信頼性を誇る輸送とその効率的な運営を可能にしています。

総合指令所

運行の統括管理

高速旅客鉄道専用線で運行する新幹線では、全列車の運行に係わる全ての情報を総合指令所で一元管理しています。指令員が正確な情報に基づいて的確な判断を行い、運行を制御するとともに、適切な指示を与え、安全性と信頼性を確保しています。

専用線の徹底した安全確保

線路内への転落防止や立入を禁止する設備を設置し、常時監視するとともに、線路内への物や人の侵入を察知した場合には、即座に列車運行を停止し、安全を確保しています。また、降雨量、降雪量、風速、川の水位などを沿線に設置した機器等を活用しながら観測し、状況に応じて速度規制や運行停止を行うことで、自然災害からも旅客を守ります。

需要に応じた弾力的な運行

Crash Avoidanceの原則によって、高頻度での運行が可能な新幹線では、需要に応じて1日あたりの列車運行本数を決定し、利用者のニーズに応じた弾力的な列車運行を行っています。運行事業者は保有する車両・鉄道設備を最大限活用し、輸送収入の最大化に向けてさまざまな営業施策に取り組んでいます。

メンテナンス

MAINTENANCE

50年以上の運営実績を基に導き出した、最も合理的な保守方式によって、安全性と効率性を高いレベルで両立しています。

電気軌道総合試験車

確認車

予防保全

新幹線の保守は、故障・不具合が発生する前に、その要因を除去する「予防保全」を基本としています。車両については、日数や走行距離に応じて定期検査を行うとともに、車両の状態を常に監視・分析する状態監視を取り入れ、点と線で車両を管理しています。地上設備については、人の手による検査に加え、電気軌道総合試験車を営業速度で走行させ、トロリ線の摩耗度合や架線を流れる電気の状態、信号の動作状態や軌道のゆがみなど、設備の状態を厳しくチェックしています。定期検査の周期や項目は、収集したデータを基に見直しを行い、安全性と効率性を両立しています。

作業時間帯の確保

終列車から翌日の初列車が走行するまでの間に、設備の修繕作業のための時間を確保しています。この時間、営業列車は走行しません。営業運転と作業の時間帯を完全に分離することで、作業の安全性・確実性・効率性が向上します。また、始発列車の運行前には、確認車を全区間で走行させ、作業の終了と線路上の安全が確保されていることを確認しています。

組織体制

ORGANIZATION

いかなる時も高い安全性・信頼性を確保する組織体制を構築しています。

輸送の安全を確保する業務体制とルール、管理者の責務を定め、平常時の運行・保守はもちろん、異常時には安全確保に向けて組織全体で即座に確実に対処できる体制を確立しています。また、日々の業務を第三者の目で検証する安全監査を実施して、法令違反、ルールの形骸化を未然に防止し、安全性・信頼性を確保する業務体制を強固にしています。

人材育成・開発

NURTURING

最後に安全を守るのは人の力です。新幹線の運行事業者は人材育成・開発を極めて重要な課題と捉え、教育訓練を行っています。

シミュレーターを用いた訓練

台湾高速鉄道の「指差喚呼」

知識・技能の向上

研修では、専門家による講義や実際の業務場面を模擬できる設備(シミュレーター)を用いた訓練によって知識・技能を高めています。現場においても体系的な教育体制を整え、ベテランからの直接指導によって綿々と技術を継承しています。

適性・資格の管理

スタッフの経歴や業務の状況、精密な身体検査の結果を基に、スタッフの長所・短所や心身の状態を把握し、業務への適性を確認しています。また、知識・技能レベルは国や運行事業者が定めた資格によって管理し、その質を維持しています。

意識・意欲の向上

実際の車両を用いた訓練や技量を競う競技会等を開催し、安全意識や意欲の向上に取り組んでいます。また、集合研修では集団生活の中で、ルールを順守する「規律」、他者と協力する「チームワーク」を醸成しています。長期に亘る知識・技能の維持・向上や適切な業務遂行には、スタッフの高い意識と意欲が不可欠です。

海外での人材育成

日本は2007年に開業した台湾高速鉄道に対して、乗務員教育や技術コンサルティングを実施してきました。日本の鉄道文化である「指差喚呼」をはじめ、多くのルールや安全文化が継承されており、それらが台湾高速鉄道の高い安全性に大きく貢献しています。

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