新幹線は、それ自体の利便性は勿論、各停車駅に繋がる稠密な在来線や地下鉄ネットワークによるコネクティビティの高さも大きな強みとなっている。そして、新幹線は単なる輸送手段ではなく、社会に変革をもたらすものである。高速鉄道導入の効果の一例として、沿線地域の活性化が挙げられるが、その効果を最大限享受するためには、高速鉄道へのアクセスを向上させることが重要である。日本では、今なおさらなるコネクティビティの向上が図られている。今回は、東海道新幹線・新横浜駅の事例を紹介する。

新横浜駅は東海道新幹線と在来線の横浜線との交点にあたる位置に設けられ、1964年に開業した。開業当時の新横浜駅周辺は田園地帯であり、横浜線も列車本数が少なく単線運転であった。開業当初は新幹線各駅停車の「こだま」のみ停車していたが、次第に速達タイプの「ひかり」の停車本数も増えていった。その後、横浜線も複線化されて列車本数が増加し、横浜市営地下鉄の駅も開業するなど、利便性が向上し、2008年には新幹線の全営業列車が停車することとなった。一日当たりの乗降人員も新幹線では開業当初の約2,200人から約65,000人に、在来線では、約2,700人から130,000人に増加している。駅周辺の開発も盛んに行われ、公示地価も1994年は平均30万3000円であったところが、2022年には85万6400円と約2.8倍に上昇している。これは日本全国の公示地価が同期間で2/3に下がっていることを考えると効果は明らかである。

また、2023年3月18日に相鉄・東急直通線が開業した。相鉄・東急という2つの私鉄が、新横浜駅を経由する新たな短絡線により直接つながることになった。これにより、神奈川県中部から東京、埼玉まで7社局14路線、総延長約250キロが乗り換えなしで結ばれることになった。神奈川県内はもちろん、渋谷・目黒等東京都心部からも乗り換えなしで行けるようになるなど、沿線地域から東海道新幹線にアクセスする選択肢が増えたことで、新幹線を介した中京、関西方面への利便性も向上した。さらに、相鉄・東急直通線の開業に合わせて、東海道新幹線ではのぞみでは初めてとなる新横浜始発の列車が早朝時間帯に設定されることとなった。今回の相鉄・東急直通線の開業によって、新たな人の流れが生まれ、沿線地域社会の発展に結びつくことが期待されている。

高速鉄道が真価を発揮するために、これからも世界各地で鉄道ネットワークが整備され、相互に相乗効果が生み出されていくことを願う。

  • https://www.sotetsu.co.jp/future/into_tokyo/
    https://www.tokyu.co.jp/railway/service/activity/network/chokutsusen/
    https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html
    https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/tokei-chosa/portal/jinko/choki.html

1993年時点の新横浜駅(空撮)

2023年時点の新横浜駅(空撮)